皆さんこんにちは。製品開発部の板谷です。
弊社では持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)への取り組みを行っており、その取り組みのひとつとして、建設現場の省人・省力化を実現するためのアプリケーションを現在提供しています。
本記事では私が担当している「配筋検査ARアプリ」についてご紹介します。
開発背景
令和3年7月、『デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の試行要領(案) 』が国土交通省により策定されました。
鉄筋コンクリート構造物の鉄筋出来形計測における受発注者の作業効率化等を図るため、画像解析等を用いた作業の効率化および発注者による遠隔確認について規定されており、令和5年度の社会実装を目指して取り組みが推進されています。
現在配筋の出来形確認は現地で直接計測・確認を行っているため、事前準備や計測、測定結果を帳票へ入力する作業に多くの人員と時間が必要となっています。
これらの問題点を解消し建設現場の省人・省力化を目的に開発されたのが「配筋検査ARアプリ」です。
システム
従来の手法では、鉄筋出来形計測は3名の作業者が測定箇所毎に対象の鉄筋へマーキングし検尺ロッドを使用して行います。
配筋検査ARアプリを利用することで、iPad Proのみで配筋検査を行うことが可能になるため、作業者を1名まで減らすことができます。
機能
鉄筋出来形の計測機能
本数・間隔の自動計測
アプリを起動して鉄筋を撮影することで、鉄筋の本数・間隔を自動計測することができます。
計測にはiPad ProのLiDARスキャナ機能で取得した鉄筋の点群データを利用しています。
鉄筋情報を検知して配筋間隔の計測を行い、画面内にラインおよび配筋間隔の数値を重畳表示します。
次の画像は今年5月に幕張メッセで開催された建設・測量 生産性向上展(CSPI-EXPO)で展示した配筋模型の計測結果です。
配筋模型は10cmの間隔で配筋されています。
鉄筋径の自動計測
検知した鉄筋に対してD10~D51までの12種類の鉄筋径計測を行うことも可能です。
計測した鉄筋径も画面上に重畳表示されます。
計測値・画像データの保存・送信機能
鉄筋の計測値・画像データを保存し、アプリ内で確認することができます。
保存したデータには帳票で表示する設計図を設定することも可能です。
Wi-Fi環境下であれば、アプリ内に保存した計測値・画像データをクラウドへ送信することができます。
クラウド管理画面からの帳票の自動出力
クラウドに保存されたデータはクラウド管理画面で閲覧が可能です。
Webブラウザからクラウド管理画面にログインし、クラウドに保存された計測データから帳票を自動作成することができます。
おわりに
「配筋検査ARアプリ」の開発背景とシステム・機能についてご紹介しました。
次回は鉄筋出来形の計測機能について詳しく説明したいと思います。