極寒の冬をサヴァイブする。ピュアオーディオのすすめ。


アドベントカレンダー12日目。おおよそ真ん中に当たる日ですので閑話休題。
和を以て貴しとなした結果、私の中での第四候補をつづることとしました。

趣味は受注と音楽鑑賞。みなさんこんにちは、営業本部の花田です。
今日はJAZZとレコード、そしてオーディオについて考えてみたいと思います。

さて、スチャダラアニ氏が以下の疑問を呈してから、早いもので23年が経過しました。
 何千万回 聞いたかも分からないループの谷間に
 流れるせせらぎには みんな気づくのだろうか

私がレコードに魅せられたのは93年。ウータンクランのおどろおどろしいローファイサウンドをレコードで聴いてしまったことに端を発し、ああでもないこうでもない・・・。
以降の遍歴は省略しますが あれから四半世紀、途中でひとときのレコード離れもありましたが、いまだレコードが大好きなわけです。

レコードとはとてもステキなもので、後発の媒体よりも音質が良いと言われています。
昨今のレコードブームは、音の良さを求めてのことも当然あると思いますが、あの大きなジャケットの重量や紙の質感、匂い。なんだか壁に飾りたくなるオシャレ感。あぁ・・・。この、フィジカルにうったえかけてくるものこそがブームの最大の理由かもしれません。
レコードが回っているのを眺める。プチプチとレコードノイズが聴こえてくる。なんだか雰囲気がとても良いではありませんか。
休日、暖かい部屋でレコードをかけながらの朝食なんていかがでしょうか。

レコードは本当に音が良いのか?

この答を出すには、レコードと、例えばCDの録音方法の違いを比較検証しなければなりません(このあたりは割愛しますので、ご興味がある方はぜひお調べください)。
この録音方法の違いにより、レコードの音は優れているわけです。しかしこれを体感するには、それなりの機器で聞く必要があります。それなりとは、どのレベルか?プレーヤー+アンプ+スピーカーという、ヴィジュアル(映像)を含まない、実にシンプルな構成を「ピュアオーディオ」と言います。そしてこれには とかく「高級」という要素も含んでいることが多く、「ハイエンドオーディオ」と言ったりもします。
では、「レコードの音こそ本物の音」と認識できるピュアオーディオとはどのレベルか?そう聞かれて私が答えるとすれば・・・、「〇十万円から」でしょうか(〇の部分はご想像ください)。
ピュアオーディオとは非常にマニアックな世界のため、家族を巻き込んだ決断が、ときには必要となりそうです。

JAZZこそレコードで聴きたい

私のピュアオーディオはまさに、JAZZを聴くためにだけにあります。JAZZうんちくは今回は語りませんが、語らずとも、普段の生活においてJAZZが多く存在していることにみなさん、お気づきのことと思います。
多くのカフェではJAZZがかかり、その他多くの飲食店やスーパーや、「え?ここでも?」と思うようなお店や施設でも、JAZZはたくさん流れています。ではなぜJAZZが選ばれるのか?それはきっと、オシャレだからでしょう。
音楽に詳しくなくても「オシャレだと感じる音楽は?」と問われて、JAZZと答える人は、どうやら多いのではないでしょうか。多くの人が無意識にオシャレと感じる音楽。それがJAZZと言えるかもしれません。そんなJAZZですから、BGMにしてしまってはいけないと思うのが「JAZZ好き」と言われる人種なわけです。
ひとつひとつの音をしっかり聴きたい。そのためには、ある程度の機器が必要となり、気づけばピュアオーディオの世界に入りこんでいるわけです。
今から60年以上も前。20代の天才アーティストたちが、うす暗く、たばこの煙が充満したライブハウスの奥で、魂の演奏をしていました。この録音をピュアオーディオで聴く・・・。なんてことでしょうか。アーティストの表情が見え、息づかいを目の前に感じます。さらに、バーボンの香りや たばこの煙の匂いまで感じるではありませんか。こういった臨場感をもっとも感じられるのが、JAZZ×ピュアオーディオであると私は思います。
前述の通り、BGMにしないのがJAZZ好きのセオリーです。その昔、ジャズ喫茶は「会話禁止」が当たり前でした。これはもう映画館と一緒です。JAZZを真剣に聴きたい人が集まる場所ですから当然、会話は禁止なわけです。でも今は時代も変わり、一部のお店を除いては会話が許されています。
圧倒的な音響で、クールなJAZZを大音量で聴かせてくれるジャズ喫茶やジャズバーへ、足を運んでみてはいかがでしょうか。お店の選曲とオーディオへのこだわりを感じられます。

神は細部に宿る

ピュアオーディオはその美しい音だけではなく、造形美もまた魅力です。

美しい造形を構成する要素に「重厚感」というものもありますが、ピュアオーディオには、重厚感をかもし出すにふさわしい重量があります。最高の音響を生むためには、対ノイズ性と防振性がとても重要なため、ハイエンド機、さらにはそれ用のオーディオラックはとても重くできています。私の愛用機器で約160kg。レコード盤については、700枚くらいを超えてくると100㎏に達します。木造家屋の場合は床の補強も必要となるかもしれません。

なんて深く美しい この世界

ピュアオーディオを追求すると、ステレオ2chこそが最高の音質であることに気づきます。ここでいう最高の音質とは例えば、「味付けのない音」でしょうか。サラウンド5.1ch等で、あんなことやこんなことをすると、最終的に出てくる音はすでに加工品です。ピュアオーディオは味付けをいかに排除するかが重要なテーマの一つなので、サブウーファーという選択肢はありません。また、ハイエンド機種では、「いろんな機能」がそがれています。例えばハイエンドなレコードプレーヤーには、オートリターン機能がありません。レコードを最後まで演奏したら勝手に針が上がり、スタート位置に戻ってきてくれるあれです。さらに最近のレコードプレーヤーに多く搭載されているMP3変換機能も、ハイエンド機にはありません。機能の多さはノイズを増やす原因に直接つながるため、こういった、いわゆる便利機能は搭載されないのです。
ノイズを排除し、生音に極限まで近づけるのがピュアオーディオです。録音状態の良い音源は、涙が出るほど美しく、録音状態が悪い音源は相応に。録音スタジオの環境や、録音にたずさわったエンジニアのスキルまでをも楽しむ。これもピュアオーディオの楽しみの一つだと私は捉えています。

世話が焼ける かわいいやつ

レコードは本当に不便です。いちいち針の上げ下げをしなければならないし、盤面のほこりをこまめに取ってあげなきゃならない。保管方法を間違えるとすぐ反るし、風通しが悪い場所に置こうものならカビまで生える。本当に手のかかるやつです。だから逆に、音と本当に向き合いたいなら、最高のパートナーとなってくれます。すべては、針を落とすという儀式から始まります。深呼吸で精神統一ができたら、音の溝の上にそっと、針を落としてみてください。

JAZZがもっとも沁みる冬。例えばお気に入りのウイスキーグラスを片手に、今日という日を振り返りながら、やわらかくて美しい音に、どうぞ耳を傾けてみてください。きっとあなたに、至福の時間を提供してくれることでしょう。
新しい趣味を持ちたい方へ。「究極の音」を聴かせてくれるピュアオーディオという選択肢も一つ、増やしてみてはいかがでしょうか。