PROLICA®による物体トラッキングのためのカメラ設置方法


こんにちは。デバイスソフトウエア開発部の斎藤です。
現在、生産性向上エッジAIカメラシステム「PROLICA®」を使用した画像解析システムの開発を担当しています。

PROLICAには、人物や車両などを検出する「物体検出機能」に加え、検出した対象物を継続的に追跡する「物体トラッキング機能」も備わっています。

様々なシーンで活躍する物体トラッキングですが、実はトラッキングアルゴリズム自体ではないカメラ由来の弱点もあったりするので、今回はそのあたりを解説していきたいと思います。

PROLICAや物体トラッキングの詳細につきましては、以下の弊社HPや、以前私が執筆したトラッキングについての記事をご覧ください!
https://www.gembaroid.jp/product/prolica.html

エッジAIカメラシステム「PROLICA®」による物体トラッキング


はじめに

近年、交通分析や防犯をはじめ、様々な分野で映像を用いた物体トラッキングの重要性が高まっています。
分類器となるディープラーニングの進化により、高精度なトラッキングシステムが今後さらに普及していくと考えられます。

しかし、どれだけAIや画像解析技術が進歩しても、トラッキング技術にはカメラ由来の根本的な弱点が存在します。
そこで今回は、映像を用いた物体トラッキングに共通する「普遍的な弱点」について、解説していきます!

PROLICAのシステム概要

本題に入る前に、PROLICAのシステム概要について説明します。

PROLICAは、エッジ画像処理技術とモバイル通信を融合させたソリューションです。
リアルタイム監視や迅速な警告発信を実現し、現場の安全性と効率性をサポートします。

システムの全体的な処理フローは以下の通りです。

  1. ネットワークカメラによる映像取得
    ・設置されたネットワークカメラから、継続的に現場の映像フレームを取得します。
  2. エッジコンピューターによる物体検出とトラッキング
    ・PROLICA内蔵のエッジコンピューター(NVIDIA Jetson)が、各映像フレームに対して物体検出やトラッキング処理を実施します。ディープラーニングモデルを用いることで、高精度かつ低遅延の解析が可能です。
    ・エッジ側での解析により、ネットワーク負荷の軽減と通信遅延の最小化が実現され、クラウドに頼らない即時の判断が可能です。
  3. LTE回線を利用した解析結果の伝送
    ・解析結果はLTE回線を経由して、遠隔地に設置された制御ボックスへと迅速に伝送されます。
  4. 制御ボックスによるハードウェア操作
    ・遠隔制御ボックスは、受信した情報に基づき、パトランプ鳴動やサイネージへの警告文表示などの安全確保に向けた操作を実行します。

システム構成図


また、クラウド録画プランを契約することで、画像処理結果を重畳表示した現場映像を、遠隔地からモニタリングすることも可能となっています。

弱点①「低いカメラ位置によるトラッキング精度の低下」

AIモデルやトラッキングアルゴリズムの性能に関わらず、単純にカメラの設置位置が低すぎるとトラッキング精度が大きく低下することがあります。

  • 理由① 車両全体が映らず、正面や側面しか見えないため、位置や移動量の正確な把握が難しい。
  • 理由② 複数の車両が重なってしまい、個々の車両を追跡することが難しい。

対策

  • 高い位置から見下ろすようにカメラを設置する。
    • PROLICAではカメラの設置位置5m以上を推奨しています。

弱点②「映像品質の低下による物体検出精度の低下」

物体トラッキング技術は映像品質に依存しているため、特に屋外環境では、以下のような外的要因による映像の劣化が問題となることがあります。

  • 夜間や雨天、霧などで映像が不鮮明になり、物体認識が困難になる。
  • 逆光や光の反射により、映像から物体を正確に判別できなくなる。

対策

  • 光源や反射を考慮し、カメラの設置位置や角度を最適化する。
  • カメラの光量制御や露光時間などの撮影設定を見直し、環境に適した設定に調整する。

ただし、設置環境や要件によっては、ある程度の精度低下を許容しなければならないケースもあります。

おわりに

今回は、画像解析システムにおけるカメラ位置と映像品質の重要性について解説しました。

画像解析分野ではAIや新しいアルゴリズムの研究開発が活発に行われており、今後さらに身近で活用しやすい技術へ進化していくと考えられます。
しかし一方で、本記事でご紹介したような根本的で見落としやすい弱点も存在しています。

こうした弱点を十分に理解し適切な対策を講じることで、より安心・安全な画像解析システムの開発・運用を目指してまいります。

PROLICAについて「こんなことはできる?」などの疑問やご質問がありましたら、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。

生産性向上AIカメラ「PROLICA®」

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