エッジAIカメラシステム「PROLICA®」による物体トラッキング


こんにちは。デバイスソフトウエア開発部の斎藤です。
現在新卒2年目で、生産性向上エッジAIカメラシステム「PROLICA®」の画像解析アプリケーション開発を行っています。

PROLICAは、人物や車両などの対象を検出する「物体検出」というタスクで利用されることが多いのですが、実は対象の物体を追跡する「トラッキング」機能にも対応可能です。
本記事では、「トラッキングとはどのような技術か」を詳しく解説し、最後に「PROLICAによるトラッキングシステムで実現できること」をお話します。

PROLICAとは

エッジAI画像解析機能を用いてリアルタイムでの状況認識や異常検知を代行するエッジAIカメラシステムです。
GPUを内蔵したカメラ単体タイプ「PROLICA VISION」と、一般的なIPカメラから映像を取得しボックス内でAI処理をする「PROLICA CORE」の2種類が存在します。

例えば、「カメラで道路状態を監視し、道路を走行する車両を検出」 → 「一定の高さを超える危険車両であれば現場管理者にアラートメールを送信する」など、ただAIが画像解析するだけでなく、解析結果を安全かつリアルタイムでフィードバッグすることを得意としています。

また、PROLICAはNETIS(New Technology Information System)という、国土交通省が運用する新技術の活用のためのデータベースに登録されています。
これは、国土交通省から、建設事業者向けのソリューションとして「有用な新技術」と認められているということを意味しています!(すごい)

NETIS登録やPROLICAの詳細については、以下の記事をご覧ください。

https://www.ecomott.co.jp/topics/4815/

PROLICAについてざっくり理解いただけたと思いますので、物体検出とトラッキングの説明に移ります。(頑張って画像作ったので最後までお付き合いください…笑)

物体検出とは

トラッキングを理解するうえでは、物体検出の概要理解が欠かせません。

物体検出は、映像や画像の中から「何がどこにあるのか」を特定する技術です。
例えば、車や人など対象となる物体を見つけ出し、それぞれに四角い枠(バウンディングボックス)を描いて表示します。
近年ではYOLOやSSDなどのディープラーニングモデルがよく使われ、画像全体を一度に見て各物体の位置や種類を推定することができます。

少し長い説明でしたが、簡単にいうと、カメラが撮った映像の中から「車」や「人」などの対象を見つけ出して枠を付けるまでが物体検出の仕事ということです!

物体検出のイメージ図

上記のイメージ図にもあるように、物体検出は1枚の画像から物体の位置を特定することは可能ですが、前の画像と同じ物体かどうかは判断できません。
つまり、物体検出だけでは、各画像ごとに物体が「新たに検出された」状態となり、連続した動きを正確に追跡することはできないのです。

もちろん、目的によっては物体検出のみで十分な場合もあります。
しかし、「この人がこの方向に歩いている」といった動作や挙動を把握するには、物体検出に加えてトラッキング技術が必要不可欠となります!

トラッキングとは

トラッキングとは、オブジェクト検出で見つけた物体を、動画の各フレーム(時系列の画像)ごとに同一の物体として結び付け、連続的に追跡する技術です。
例えば、最初のフレームで検出された「人」に対して一定のIDを割り当て、次のフレームでも「人」であると判断して同じIDを維持することで、車両の動きや進行方向を解析できるようになります。

かみ砕いて言うと、動画内で一度見つけた人を「これさっきと同じ人ですよね?」と認識し、動画から消えるまでつなぎ合わせて追跡する仕組みです。

物体検出だけでは、各フレームで「新たに」検出された結果になってしまいますが、トラッキング技術を加えることで、前後のフレーム間で同じ人かどうかを判断し、継続的に追うことができるようになるのです。

トラッキングのイメージ図

実際のトラッキング技術には、物体の位置を推定する「カルマンフィルタ」や、連続した画像の物体を紐付ける「ハンガリアン法」など優秀なアルゴリズムが詰まっていて非常に奥が深いのですが、ここでは割愛します。

PROLICAによる「物体検出+トラッキング」で実現可能なこと

PROLICAのトラッキング機能を使用することで、具体的には以下のようなタスクに対応することができます。

  • 現場映像から人や車両を検出→仮想のラインを超えた人や車両の人数/台数をカウントする。
  • 現場内の許可区域に無断で侵入する人や車両を追跡し、リアルタイムで警告を発する。
  • 現場内で特定エリアに一定時間以上滞留する人物を検出し、リアルタイムで警告を発する。

上記はあくまで一例ですので、「これってPROLICAで実現できるのかな?」など疑問に思うことがございましたら、以下の「生産性向上AIカメラ「PROLICA®」に関するお問い合わせ」からご連絡ください!

生産性向上AIカメラ「PROLICA®」

最後に

今回は生産性向上エッジAIカメラシステム「PROLICA®」に搭載されているトラッキング技術についてご紹介しました。
PROLICAでは日々新しい機能やAIモデルの開発が進んでおり、今後もまだまだ進化していく製品となっています!
今後も技術者の視点からPROLICAについて発信できたらと考えておりますので、是非またエコモット技術ブログにお立ち寄りください👀

また、エコモットではソフトウェアエンジニアを募集しています。
気になった方はぜひ採用ページもご覧ください。