デバイスソフトウエア開発部の板谷です。
「配筋検査ARシステムBAIAS®」は2025年1月16日のアップデートにより、
ダブル計測機能の計測範囲に勾配を設定できるようになりました。
これにより、勾配のある床版に対しても配筋計測が可能になります。
今回は新しく追加された機能の紹介と使用方法について紹介します。
課題
従来のダブル配筋計測機能にある計測範囲の調整機能だけでは
勾配がある配筋に対して計測範囲を合わせるのが難しいという課題がありました。
開発に使用している配筋模型に勾配を付け、従来のダブル計測機能で計測してみます。
配筋模型の配筋間隔は縦筋・横筋ともに100mmです。
計測範囲が配筋の面に合っていない状態では実際の配筋の位置にマーカーを置くことができず、実測値に誤差が出てしまいました。
この課題を解決するのが今回追加された計測範囲の勾配設定です。
計測範囲の勾配設定はダブル計測機能のスラブ方向の計測で使用できます。
実際に使ってみた
先ほどの勾配を付けた配筋模型に対して、新しい機能を試してみます。
BAIASアプリケーションを起動し、計測画面でダブル計測機能を選択します。
設計入力画面で計測方向にスラブを選択すると、勾配の設計値の入力欄が表示されました。
設計値にはプラス値・マイナス値が設定できます。
横断方向の場合は右上がりの勾配ならプラス値、左上がりの勾配ならマイナス値を設定します。
横断勾配のある配筋を計測
まずは横断方向に勾配がある縦筋を計測してみましょう。
配筋を狙ってボタンをタップすると、勾配がある計測範囲が設置されます。
計測する配筋に合うように、計測範囲の中心位置や角度、距離を調整していきます。
調整が完了すると以下のようになります。真上から見下ろすとあまり違いが分かりません。
計測範囲を真横から見た状態を勾配がない状態と比較しました。
計測範囲に設計値ぶんの角度がついていることが分かります。
計測範囲の調整後は従来通り手動または一括配置でARマーカーを設置し、計測を完了させます。
計測範囲が配筋の面とあっているので、実際の配筋に重なるようにARマーカーを配置することができました!
縦断勾配のある配筋を計測
縦断方向に勾配がある横筋も計測してみました。
縦筋同様、勾配があっても問題なく計測ができています。
現場実証試験を実施
国土交通省が2023年7月に策定した「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」(以下、実施要領)では、床版工では個々の鉄筋の実測値と計測値の許容誤差の目安が±5mmとされています。
今回勾配の設定機能が追加されたBAIASを使用し、村本建設さんが現場実証試験を実施しました。
その結果、床版工の計測において許容誤差±5mmを満たすことが確認されました。
詳しくは下記をご覧ください。
「配筋検査ARシステム『BAIASⓇ』」 国土交通省実施要領の基準値適合を床版工事でも確認
終わりに
勾配の設定機能の追加と現場実証の結果により、BAIASは床版工の配筋計測にも対応できるようになりました。
引き続きBAIASの機能拡充に努めていきますので、これからもBAIASをよろしくお願いします。
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