アドベントカレンダー20日目
徳之島という島は奄美諸島のおおよそ中央に位置する、牛と牛が闘う闘牛が有名な島です。自然があふれ、青い海に囲まれる南の島です。
経営企画部 新規事業グループの澤田より、IoTと通信・電源の話です。(写真は徳之島の牛ではありません。イメージ画像です。)
IoTの要素
IoTを実現するための要素として、センサー、電源、通信機、通信、クラウドなどが必要になります。当社はこれまでクラウドへの接続実績としてセンサーでは2,000種類、延べ7,000現場以上の実績を有しております。
センサー、ソーラー等の電源、通信機、通信契約、クラウドは当社で手配いたしますので、お客様の利用したい環境で、特に悩まず即座にIoTを実現いただけるのが当社の強みである「つなぐ力」です。
当社ではモバイル通信を提供できるものの、電波塔を建てたりするとコスト面が合わない場合が多いため、インフラとして通信キャリアから供給される通信を借り受けてお客様に提供する仕組みを基本としております。最近では当社も光回線等有線網や衛星通信にも対応することで通信手段を拡充しております。
電源も同様に新たな電源工事を行うことは多くなく、あらかじめ現場に引き込まれている電源を利用するか、もしくはソーラー電源や燃料電池をご利用いただくよう、ご提案をさせていただいております。
通信と電源
モバイル通信キャリアから供給される電波が届かない場合や光回線等有線網が通じていないと、センサーやカメラのデータをクラウドへアップロードすることができません。
またセンサーや通信機を作動させるためには電源が必要です。電源はポータブル太陽光発電「SOBAT」や高持続性小型燃料電池「メタパワー」を当社にてご用意できますので、それらの電源を利用することで当社のIoTパッケージを容易に利用いただけます。なかには大量の電源を必要とする監視カメラや振動計などでは商用電源を必要とする場合があり、お客様にご用意いただく場合がございます。
さて、徳之島に当社IoTソリューションを納品したときの話です。
お客様からの事前情報では、商用電源は準備済み、携帯通信キャリアa社様の通信が利用可能とのこと。当社で必要なIoTソリューションを用意して、澤田が現地立ち合い要員として現地入りしました。必要なIoTソリューションは雨量計 、地滑り検知用の伸縮計、遠隔監視カメラ「ジオスコープ」でした。
通信ナシ電源ナシ
現地に入ってみたところ、通信ナシ、電源ナシ。。。
お客様と協議したところ、なんとしても導入するという方針で決定。
まずは数百メートル離れた電柱から電源を現場に引き込むため、現地の電気業者を探しました。幸い電気業者さんはすぐに見つかったものの人手不足のため、澤田も現場要員として参加し、現場に電柱用の穴を抱きスコップで掘って、そこに人力で木製の電柱を建て、電線を張り、現場に商用電源を引き込みました。
伸縮計を取り付ける際には、 伸縮計を取り付けた崖の上の茂みからブラックタイガーサイズの蜂が出てきたり、現場の工員さん達からは「ハブが出るから茂みによるな」とか「茂みが揺れたらイノシシが出る合図だから避けろ」など有意義なアドバイスをたくさんいただきました。
最後に電波は通信キャリアA社の通信は現場付近には届いておらず、通信キャリアD社の通信がかろうじて現場の一部で通じる箇所を見つけたので、そこに通信機を設置しました。D社の通信も極めて弱かったので、通常のアンテナをあきらめ大阪から緊急で特殊なアンテナを手配し、それを設置して現場の映像と地滑りのデータの通信に成功しました。
島魂
あとにもさきにも電柱を人力で建てたのは徳之島のあの現場だけですが、事前準備の重要性や通信や電源がいかにIoTに必要な要素であるかを痛感した現場でした。このような経験の積み重ねがエコモットの強みである「つなぐ力」を強くしたのだと思います。
当初3営業日程度の予定で出張したものの実際は7~10日間に延長。徳之島に缶詰になったことは強烈な記憶として脳裏に刻まれていますが、あまりにもつらかったようで記憶に蓋がされています。。。(7日間か10日間か思い出せない。。。)
今は4G LTEの通信網は充実しましたし、LPWAなどの電池でも稼働可能な低消費電力かつ長距離通信が可能な通信規格が展開されたことで、最近であれば徳之島の現場のような思いをしなくてもIoTは実現できるようになりました。
それでも通信と電源がないとIoTが実現できないことに大きな変化はありません。皆様もIoTをご検討される場合は、ぜひ通信と電源がIoTの重要なファクターであることをお忘れなきよう、ご注意ください。
帰りの空港で記念に買った徳之島Tシャツは、今ではすっかりヨレヨレですが血と汗と涙の結晶なので捨てられません。