議事録をアップデートするために「社内文字起こしサービス(仮)」をサクっと立てた話


会議のムダを価値化する全録文字起こしシステムの導入

データアナリティクス部の庄内です。
皆さん、会議中の議事録作成に苦労したことはありませんか?特に、会議中の脱線やブレインストーミングなど会話の展開が想定できない場合、修正しながらでは重要な情報を見逃してしまうことがありますよね?とは言え、途中で「今のはこういうことですか?」なんて野暮な質問したらせっかくの盛り上がりに水を差しかねません。

会議のムダの問題点

従来、会議前にアジェンダと同時に議事録を作成しておいて、会議中に修正する程度で、会議直後に回覧するのが基本でした。アジェンダのフロー以外はムダ話しとして極力排除の方向が良しとされていたと思います。しかし、このやり方では会議中に想起された価値ある脱線やアイデアをうまく拾えないことが多いんです。(鮮度が重要なので、後では思い起こせない場合もあります) 例えば、ブレインストーミングの最中に出た新しいアイデアが、その場では議事録に反映されず、後から思い出して追加するとか闇に葬られるとか・・・何かともったいない!

個人的な体験と気づき

私個人はOpenAI/whisperをコマンドとして使い全録文字起こしテキストから議事録を作成しています。(TEAMSの文字起こしで問題ないという人もいるでしょう)しかし、会議のメンバーの中には、TEAMSのコントロール権限がなかったり、Whisperコマンドを使える環境にない人もいて、その人たちは置いてけぼり状態だったりします。これは問題!

解決策

そんなことを知って、「文字起こしサーバ」があれば、会議中のすべての発言を記録し、誰でも簡単に議事録を作成できるよね・・・ということで、重い腰を上げてみました。

システム構築

とりあえず、faster_whisperを使ってFlaskアプリを作ることにしました。 (※コードを張るのは読みづらくなるので、VoiceNoteに改名し、https://github.com/Ecomott-DataAnalytics/VoiceNote に置きました)   いきなり利用され過ぎてパンクしても面倒なので、gnuicorn、celery、redisを使って、しっかりシステム構築します。シーケンス図はこんな感じ これで安定稼働が見込めるシステムになりそうです。ちなみに、対外向けに公開する訳ではないので、NginXとかは入れません。

Singularityコンテナ化

Python書くところまでは簡単だけど、サーバに設置するとなるとそれなりに面倒なことも多いですよね?そこで今回はコンテナにまとめて、利用しやすくします。 (※こちらも同様にGitHubに移行しました。こちらがメインという説もある)     このコンテナ定義で以下のように作成&起動させれば、利用可能です。(※CUDA_VISIBLE_DEVICES=0はGPUが複数あるとき0番目に制限する意)

Singularityコンテナの利点

システム全体をSingularityコンテナにまとめることで、サーバの管理者権限を気にする必要がなくなります。どこでも同じ環境で動かせるので、管理が非常に簡単です。コンテナ化により、運用面でも柔軟に対応できるようになりました。

全録文字起こしシステムの導入

  新しいシステムでは、会議を全録音して、文字起こしをして、「議事録をまとめるAI」に任せます。これで、会議中の脱線やブレストの内容もすべて記録できます。重要なアイデアや議論を見逃すことなく、すべて記録として残せます。つまり、今まで見逃して捨てていた会議のムダを価値化することができるのです。

「議事録をまとめるAI」について

「議事録をまとめるAI」として、Google NotebookLMが有効です。既存サービスの中で一番ハルシネーションがないように感じます。(「その内容の記載はありません」と返してくれる)また、NotebookLMでは記載の引用もつけてくれるので、エビデンスの確認が簡単です。 文字起こしテキストファイルを読み込ませ、ノートブックガイドからブリーフィングドキュメントを選択すること(またはチャットで「議事録としてまとめて」とお願いする)で自動的に議事録が完成します。若干のキーワード修正は必要です(たいていの場合、文字起こし時点ではなく、議事録にまとめた後でOK)が、これで議事録作成の手間が大幅に減ります。これにより、誰でも簡単に議事録を作成できるようになり、誰が読んでも会議の内容を正確に把握することができます。

実際の効果

実際に使ってみると、驚くほど便利です。会議後に全ての発言が記録されているので、重要なポイントを見逃すことがありません。「こんな便利なものがあるなら、早く教えてよ!」と逆ギレされました。

まとめ

ちょっとした全録文字起こしシステムで、会議のムダを価値化することができました。これで議事録作成のストレスも大幅に軽減されますね。NotebookLM上では文字起こしファイルをもとに要約や課題抽出などのほかに複数のファイルの差分から進捗把握資料など工夫次第でいろいろなインサイトが獲得できますから、使い続けることで付加価値がつけられますね。 これをご覧の皆さんも、ぜひこのシステムを試してみてください。会議のムダを価値化し、効率的な議事録作成を実現しましょう。