こんにちは。開発部の大山です。
「配筋検査ARシステムBAIAS®」は、配筋の重ね継ぎ手や定着長さの計測を想定した「2点間計測機能」を2023年1月4日にリリースしました。
アプリでの距離計測というとiPhone、iPadで標準アプリとしてインストールされる「計測アプリ(以降、標準の計測アプリ)」が思い浮かぶ方も多いと思います。
今回はその計測アプリとBAIASを比較して、BAIASが工夫した計測点の指定方法の違いについて、説明したいと思います。
標準の計測アプリの場合
標準の計測アプリは以下のような見た目です。
画面中央の円形マークは、物体の表面を認識し、向きを表します。
右側の+ボタンをタップすると物体の表面に点を追加し、2つの点を追加したところで距離を表示します。
標準の計測アプリはどうやって物体の表面を認識しているでしょうか。
ひとつには、LiDARセンサーから得られる距離情報だと考えられます。
iPad ProのLiDARセンサーから得られる距離情報を画像として取得してみます。
グリーンのところはカメラと距離が近い鉄筋、オレンジのところは距離が遠い壁を表します。
この配筋では縦の鉄筋が手前、横の鉄筋が奥側にあります。
ところどころグリーンが薄いというか、オレンジっぽくなっているところがありますね。
LiDARセンサーはレーザー光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離を計測します。
異形鉄筋の黒い色や丸いでこぼこした形が理由で、うまく反射光が得られていないのかもしれません。
また、この距離情報の解像度は横256 縦 192 ピクセルです。
だいたい、D10=1cmの物体は50cm以上程度離れると1ピクセル未満になり、距離情報が得られない計算になります。
このような理由から、鉄筋径がD10のような細い鉄筋に対し、標準の計測アプリを使った計測点の指定は難しい場合がありました。
BAIASの場合
BAIASでは計測点の指定方法に仮想的な平面を使うことにしました。
配筋された面と重なるように仮想的な面を設置し、その面上に計測点を指定します。
仮想的な面が配筋された面と合致しているか目視で確認できるように、中央に円柱を表示しています。
上の例では真正面からみたら位置が合っていそうですが、斜めから見ると円柱が奥側にある=仮想的な面も奥側にあることが視覚的に分かります。
このBAIASの方法では仮想的な面を実際の配筋に合わせる手間はあるのですが、標準の計測アプリとくらべて安定的に計測点を指定することができました。
標準の計測アプリの計測結果との比較
最後に検証に用いている配筋の模型を使って計測の精度を比較してみます。
模型の縦の鉄筋の端から端までの間隔は60cmです。
標準の計測アプリの計測結果は65cmです。50mmの誤差になってしまいました。左側の始点が奥側にずれてしまっているようです。
BAIASの計測結果は597~604mm、平均599mm(7回計測時)となりました。メジャー計測60cmとの誤差を考えると、精度は±4mm以内に収まっています。
現場での計測に必要なmm単位での計測にも対応している点も、標準の計測アプリにはない特徴です。
おわりに
今回の記事ではBAIASの2点間計測について、標準の計測アプリと対比して解説しました。
BAIASは以下の機能に対応しています。(2023年5月11日現在)
本数 | 間隔 | 径 | 重ね継手長 | かぶり | 多段配筋 | 曲面の配筋 | 電子黒板 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 開発中 | 開発中 | – | 〇 |
BAIASの最新情報については以下をご覧ください。
・今後のバージョンアップ情報
・メンテナンス・アップデート情報
現場の方に省人・省力化を実感していただけるよう、引き続き開発を進めております。
これからも配筋検査ARシステムBAIASをよろしくお願いいたします。